大体大先生リレーコラム「本物を学ぼう」 第38回「クラスには多様な子どもたちが学んでいる」

筆者:藤井茂樹(教育学部教授)

1.園、学校は楽しい?
 保育園?幼稚園?認定こども園、小中学校?高等学校には、外国にゆかりのある子ども、学校に行きづらい子ども、勉強が難しい子ども、落ち着きのない子ども、こだわりの強い子どもなど様々な子どもがいます。
 この子どもたちも含めて、今、園?学校は居心地がいいでしょうか。仲間外れにされたり、いじめにあったりしていませんか。園?学校が楽しく、子どもどうしが楽しく学びができるにはどうすればいいでしょう。

2.固有のハードルのあるこどもたち
 「特別な勉強のやり方」が必要な子ども、独特なかかわり方をする子ども、注意と行動コントロールの困難のある子どもがいます。この子どもたちは、固有のハードルがいくつかあって、それを乗り越えながら成長していくのです。
 この子らを取り巻く人は、他の人との「違い」を認めあうことが求められます。また、本人はこの「違い」をなくそうとするのではなく、人とは違っているが、困ることをできるだけ少なくして、困った時にどうすればよいかをわかるようにすることが大切です。

3.今、園?学校で取り組んでいること
 固有のハードルのある子どもが、学びの活動に参加している実感?達成感をもちながら学び、生きる力を身に付けていくことができるよう、教員はこの子どもたちの学習上又は生活上の困難を理解し、個別の教育的ニーズに対して、他の教員や関係機関と連携しながら組織的に対応しています。具体的には、集団を高めることを意識して行う集団指導と、個を高めることを意識して行う個別支援をバランスよく状況に応じて対応しています。
 将来、保育園?幼稚園?認定こども園、小中学校、高等学校、特別支援学校で先生になりたいと思っている高校生の皆さん、「固有のハードルのある子ども」など、人との違いのある子どもについて学んでみませんか。この子どもたちの抱えている困難を知り、それぞれの困難に対応したやり方の必要性を理解することの学びです。
 自分自身に人との違いがあることに気が付いたら、まず、この違っていることはいけないことではな い、うまくいかないのは自分がいけないのではなく身近な人のせいでもないのです。できないことにくよくよ悩まず、些細なことでも今できることから始めることが何より大切であると思います。

【引用文献】
?落合みどり(2003) 『十人十色なカエルの子 特別なやり方が必要な子どもの理解のために』 東京書籍
?小林倫代、藤井茂樹他(2022) 『教員と教員になりたい人のための特別支援教育のテキスト』 Gakken

キーワード | 固有のハードルのある子ども 特別な勉強のやり方 個別の教育的ニーズ

藤井茂樹教授
藤井茂樹(教育学部教授)
 専門は特別支援教育、発達障害教育。公立小学校、行政機関、国立研究所、医療機関を経て大学教員。障害のある人の一貫した支援システムを行政機関に立ち上げ、障害が気づかれてから就労までの支援に取り組む。また、発達障害のある人への教育?福祉?保健?医療?就労等と連携した包括的な支援に取り組んでいる。
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